今と昔は違う、卵の常識
昭和40年代生まれの友人屋にとって、つい最近まで卵は肥満の敵でした。血液をドロドロにするコレステロールを沢山含んでいるからと、メディアの情報によりインプットされてましたから。昔々のマヨネーズのCMでは、盛んにコレステロールを半分に抑えました!と必死で訴えていましたよね。そんな記憶が潜在的に刷り込まれているので、小4の頃、映画「ロッキー」で、ロッキー・バルボアがジョッキにパカパカと卵を割って飲むシーンを見たときは「えっ?いいの?そんなことして」と思ったものでした。こんなキモいことができるから、精神的に強くなれるのかと。
※記憶では10個ぐらい飲んでいたと思っていたのですが、5個でしたね。
卵の限度は1日1個、が一般的な家庭の常識だったと記憶しています。
卵の評価がコッソリと一転していた
卵=栄養価は高いけど、コレステロール値が高くにもなる…。その印象のまま、40を超えるまで生きてきました。
がしかし、科学が進んだ現代。昭和の常識はアッサリ入れ替わっていました。「卵」は1日に3個も4個も食べていいスーパーフードだと。
そもそもコレステロールとは、私たちの身体の細胞膜などをつくっている必要不可欠な脂肪分の1つ。常に体内で合成されていて、食べ物から摂るコレステロールが身体に取り込まれるのは、2割程。しかも取り込まれる量は調整されているので、摂取量が体内のコレステロールに影響を与えることはほとんどないらしいでのです。
「コレステロールの摂取量と血液中のコレステロールに明らかな相関性はない!」
これは、1999年にハーバード大学にて学会発表されたもので、2013年にはアメリカの心臓病関連の学会が「摂取量の制限を設けない」ことを発表。2015年には日本でもこれに追従する形で、動脈硬化学会が同様の声明を出しています。
卵はダイエッターの万能食材
ダイエッターに必要不可欠な筋肉の元になっているのはタンパク質。1日の必要摂取量は、体重1㎏あたり1.2~2.0gのタンパク質が必要とされています。卵1個に含まれるタンパク質は6~7gなので、3~4個食べても問題ないといわれています。しかも糖質は、0.3g程と低糖質。腹持ちもいいのでオヤツに最適です。
私、ダイエット成功中の友人屋も、朝とおやつ代わりに、1日4個は食べています。
ちなみに初めにあげたロッキー卵問題ですが、生卵にはアビジンという吸収阻害物質が含まれているらしく、火を通すこと無くなるで、加熱した方が良いとのことです。
卵は○。ロッキーは△ということになりますね。
今あらためて思う、ロッキーの卵と自分の食習慣
それにしても、ロッキーのあの生卵ゴクゴクシーン。あれ、完全に“根性”の象徴でしたよね。小学生の頃は、あれを見て「強くなるには気持ちが違うんだ」と妙に感心しつつも、「でも卵はコレステロールだから、やっぱりマネしちゃダメ」って思ってた記憶があります。なんというか、ロッキー=やりすぎ、みたいな。
でも現代の視点で観ると、「卵は悪者」だった時代こそが、実は情報に踊らされていたのかもしれないなと感じます。ロッキーの食べ方は極端だったかもしれないけれど、「卵を食べる」ことそのものは、むしろ健康に良かったと。
ちなみに最近の『クリード』シリーズでは、さすがにあの“卵ジョッキ一気飲み”シーンは登場しません。現代的なトレーニング理論に則ったシーンが多くなっていて、時代は確実に変わったんだなと思わされます。
それでも、「自分を変えるために何かを飲み干す」っていう行為、どこか象徴的で、今でもちょっとグッとくるんですよね。私にとってそれは、バターコーヒーだったり、朝のゆで卵だったりするわけですが。
卵を恐れていたあの頃の自分に言ってやりたいです。
「君が怖がってた卵、むしろ今は味方だぞ」って。